待ち望んだ夏。
セミの鳴き声が響き始めると、我れ先にと川へ飛び込む川ガキたち。
清冽な流れに身を任せ、魚と一緒に川を下る。
水中メガネや箱メガネと呼ばれる昔ながらの道具越しに広がる、キラキラと揺らめく眩しい世界。
これら光景をいったん眺めてしまうと、川ガキでなくても川遊びの魅力にやみつきになってしまうもの。
小さなエビや身体のまわりを泳ぐ魚をみつけては、歓声をあげ、泳ぎながら水中を眺める子がいれば、じっと動かずに眺めている子もいる。
大人だったら見過ごしてしまうような小さな生きものにも好奇心を抱き、不自然な姿勢でいることすら気付かずに、何時間でも水中を眺めている川ガキたち。
夢中になって水中を眺めている子どもを見かけるたび、ぼくはなんだか幸せな気分になる。
どんなことも最初は小さな好奇心から。
「川のなかをのぞく」ことは、特別な川遊びではないけれど、きっとたくさんのことを得ているのに違いないと、ぼくは思うのだ。

写真は徳島県を流れる海部川。


作品・ 1・ 23456

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